米国量的緩和のテーパリング政策
FRBは、コロナ下において2020年6月より緩和政策を実施してきた量的緩和の縮小を、年内にも開始しようとしている。コロナワクチンの普及による経済の回復を背景としたものである。
量的緩和は、マネタリーベースの「量」を操作することを目的に、FRBが米国債などの資産を購入することことによって、市場に大量の資金を供給するものである。コロナ下において、FRBは8兆ドルほどの資産購入をおこなってきた。
以前にも2008年のリーマンショックを機に、大規模な量的緩和が行われた。その際の正常化は、
⑴テーパリングの実施
⑵テーパリング後の総資産残高を維持
⑶利上げ
⑷総資産残高の縮小
というプロセスで進められた。
この正常化プロセスに対し、日米金融市場では、株高、長期金利低下、ドル高・円安の動きが見られた。
理論的にはテーパリングにより株価が下がるものの、市場がすでにテーパリングを織り込んでいたため、株価への影響はあまり発生しなかったと見られている。
テーパリングの開始タイミングについては、今後のFOMCで議論されていく。直近は9月21・22日である。インフレが進む一方、9月の雇用統計が市場予想をしたまわっている中で、現況をFOMCがどう捉えるかが注目される。
一方日本でもワクチン接種が50%を超えてきており、徐々にコロナからの立ち直りが見込まれている。しかし、縮小政策へ移行しようとしている米国に取り残されるように、日銀はインフラ2%回復までは継続的な緩和政策が必要としている。
アベノミクスのような明確な経済政策が見えていない現状で、どのように正常化を行なっていくか、そもそも正常化は当分先(無理)なのか、、、